(1)日本の科学・技術・工学・数学(STEM)分野における男女格差が半世紀も前から言われてきたが、大学の学部生に占める女性の割合は理学が約28%、工学が約15%である。西側先進国でも男女格差はある。違うことと言えば、欧米では1970年代、80年代に女性研究者を増やすための取り組みが始まっていたことである。早期から小中高におけるジェンダ-格差解消に取り組んできた。それまで理数系の授業で教師が男子とのやり取りに多くの時間を使ったり、深い学びにつながる質問をしたりしていることが観察された。相手をしてもらえない女子は結果的に「沈黙」することになる。同じ教室で同じ授業を受けながら教育効果が男女で異なっていた。男女で違う対応をするのは教師たちが「女子は理数系が苦手」という偏見に陥っているからである。そうした無意識の偏見に気づいて、意識的に女子の学びを促す授業につながっていった。一方、日本は文科省が2006年度に「女性研究者支援モデル育成事業」をスタートさせ女性研究者を支援する取り組みを始めたが、次世代へのアプロ-チはあまりなされなかった。学校現場で管理職や理数系担当の多くを男性教師が占める環境の中で、教師が自発的にジェンダ-問題に気付くのは難しい。加えて中学や高校で理数系科目の女性教員が少ない現状は「理数系は男性領域」という印象を子どもに与える。今後、小学校高学年で算数や理科の教科担任制が導入されるが、教員が男性に偏れば小さい時からそのメッセ-ジを伝えることになる。子どもたちが毎日見る光景を「当たり前」と受け入れて成長していくことを鑑みた運用がなされることを期待する。理数系の女性教員が男性と同程度いる学校風景が普通になれば性別に関係なく理数系への興味が湧き、日本の将来に大いに貢献する子供たちが増えるのではと考える。教育長の見解を問う。
(2)理数系の男女格差をなくすには、小中高からの地道な教育変革を必要とするのではなかろうか。市長の見解を問う。