(1)情報伝達について
「原子力」「放射線・放射能」について「危険」「難しい」「とっつきにくい」といったネガティブな印象を持つ人もいる。その理由は「東電福島第一事故を思うと怖い。不安である」「とにかく専門用語が多い」といった答えである。
さらに、「原子力」「放射線・放射能」に関する情報源はテレビ、新聞、インターネットのようにメディアからの情報入手が多いと思われる。しかし、日本全土を震撼させた2011年3月11日の東電福島第一事故の報道ひとつをとっても、各局・各新聞ではさまざまに報じられた。事実が正確に報じられているものもあれば、一方向から評価されているものもある。
人間は何故か「安全だ」というキーワードより「危ない」というネガティブなキーワードに目がとまり易く、心理的に共感をおぼえたりするものである。メディアの多くは「危ない」を重視する。メディアが評判、世論を気にする傾向にある中、正しく怖がり、冷静に判断するためにはどのように情報を伝えていけば良いのか考え方を伺う。
(2)放射線の利用について
原子力とは何か。ニュースなどで耳にする「原子力発電」や「放射能」。私たちの生活とどのようにかかわっているのか。「原子力利用」は大きく分けて「放射線の利用」と「エネルギーとしての利用」の2つがある。最初は放射線の利用である。私たちは普段、放射線を目で見たり、肌で感じるなど人間の五感で認知することはほとんどない。しかし、毎日のくらしの中で放射線を受けている。例えば宇宙からは、太陽や星が放つ放射線が地球にも降り注いでいるし、大地で育つ食物やそれを食べる動物にも放射性物質は存在しているので、食物や呼吸を通じて体内に取り込まれて、体内でも放射線を受けている。一方、放射線は健康診断などのX線検査で、体の外からX線を照射し、透視画面から体内を診断する。また、ジャガイモの発芽防止、医療機器などの滅菌、ゴムやプラスチック製品の強度向上など日常生活に役立っている。
放射線の利用に関するリスクとベネフィットについての所見を伺う。
(3)エネルギーとしての利用について
「エネルギーとしての利用」の電力は、発電所から供給されている。その発電所の多くは、さまざまなエネルギー源による動力で発電機を回して電気を発生させる。この動力に何を使うかによって「火力発電」や「原子力発電」というように発電方法が変わる。原子力発電は火力発電のボイラーを原子炉に置き換え、燃料のウランを核分裂させて得た熱エネルギーで水を沸騰させる。あとは、火力発電と同じ仕組みである。
原発の燃料には、ウラン235を濃縮して利用する。ウラン235に中性子がぶつかると核分裂する。このとき新たに2~3個の中性子が発生し、この中性子が別のウラン235にぶつかると、また核分裂し、さらに中性子が発生する。このような反応がゆっくりと連続して発生する仕組みを利用したものが原子力発電である。エネルギーとしての利用における問題点を問う。
(4)原子力技術の有用性について
私たちの日常生活は電気なしには考えられない。電気の安定供給が重要である。電気を供給する電源には、火力や水力、太陽光、風力そして原子力がある。東電福島第一事故後、全国の原子力発電所が停止し、原子力を除く電源で日本の電気は賄われ、原子力発電所の稼働がゼロでも停電は起きず、「原子力発電はなくても大丈夫」との声もある。
日本はエネルギー源のほとんどを輸入に頼っており、現在の自給率は約6%、先進国の中でも最低のレベルである。自給率向上が謳われている食料自給率は約40%、東電福島第一事故前は原子力発電による電力供給が行われており約20%であった。では、なぜ停電しないのかというと、どれかの電源が何かの原因で使えなくなっても、他の電源がバックアップできる対策がとられているからである。バックアップの最も大きな担い手は火力発電であるが、その燃料である石油、天然ガスは、政情が不安定な国からの輸入に依存しているため、燃料供給が途絶える不安がある。一方、地球環境問題に目を向けると、地球温暖化による気候変動の影響は、地球上に頻発している。その大きな原因は二酸化炭素の排出増加である。二酸化炭素の排出増加の大きな原因は火力発電であり、世界各国がこれに代わる発電の必要を考えている。原子力発電は、発電時に二酸化炭素を排出しないので地球温暖化防止に大きな役割を果たすことができる。以上述べたように原子力発電の有用性も考えられる。このような原子力技術の有用性をアピールすべきと感じるが所見を伺う。
(5)世界に原子力技術を提供する意義について
東電福島第一事故後、ドイツなどのように脱原子力政策に転じた国もあるが、世界全体で見ると原子力発電の導入・増設が進展している。米国、中国、韓国での新規着工に加え、イランやUAEなども建設工事を進めている。日本においても原子力規制委員会と改正原子炉等規制法の下で既存の原子力発電所が再稼動し始めている。
日本は唯一の被爆国として、これまで世界の原子力の平和利用の推進を指導してきており、原子力安全・核セキュリティ・核不拡散などの分野で期待される役割は大きい。また原発事故の当事国として事故の経験と教訓をいかして、世界の原子力利用の安全性向上に貢献していくことは日本の責務であると考える。
一方、日本には原子力に関する重要な技術を有する企業があり、原発事故の経験と教訓を学び、さらに安全性を高めた原子力技術を世界に提供願いたい。
世界で原子力発電の導入・増設が進展し、多くの稼働する原発がある中、日本の原子力技術が果たす役割は非常に重要と考えるが、どのように考えておられるか伺う。
(6)放射性廃棄物の処理・処分について
原子力発電所で発生した放射能レベルが比較的低い廃棄物については、青森県にある日本原燃の低レベル放射性廃棄物埋設センタ-において浅地中ピット処分がおこなわれている。しかし、それ以外については、処分場の場所などが決まっておらず、今後の課題となっていることに対しての所見を伺う。
脱炭素宣言をするに当たり、再生可能エネルギーの果たす役割は大変大きい。ただ、再生可能エネルギーにも各種の問題点はあるが、再生可能エネルギー先進国の技術、日本の業界・大学の研究力、政府の支援等で解決できると考える。
雲南市として例えば、太陽光パネルを設置して市民の皆様にアピールするようなことは如何であろうか伺う。
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